大丈夫ですか?マイクロフィルムの適切な保管

マイクロフィルムは、紙媒体に代わる長期保存媒体として、図書館や文書館などで長年利用されてきました。 適切な環境下で保管すれば、数百年以上の長期保存に
耐えられることが国際規格でも示されています。 しかし、適切でない環境下では、マイクロフィルムは劣化を起こし、情報が失われる危険性があります。
危険なビネガーシンドロームとは
マイクロフィルムの劣化の最大の原因の一つが、ビネガーシンドロームです。これは、1950年代から1990年代初頭にかけて製造されたTAC(酢酸セルロース)ベースのフィルムに多く見られる現象です。フィルムの主成分であるセルロースが、高温多湿な環境で加水分解を起こし、酢酸を発生させます。この劣化が進行すると、フィルムから酸っぱい酢の匂いがすることから「ビネガーシンドローム」と呼ばれています。
ビネガーシンドロームの症状

・酸っぱい酢の匂いがする。
・フィルムが変形(波打ち、縮み、ベタつき、貼りつき、ひび割れ、粉砕)
酢酸の悪影響
▲周辺資料への影響▲ : 発生した酢酸ガスは、他のフィルムや紙資料の劣化を促進します。
▲周辺機器への影響▲ : 資料だけでなく、キャビネットや空調機器も劣化させてしまいます。
▲ 健康への影響 ▲ : 高濃度の酢酸ガスは、人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ビネガーシンドロームが起こりやすい条件

・高温多湿な場所
・換気が不十分で、密閉されたキャビネットや空間
・酸性ガスを発生させる他の資料(酸性紙など)と一緒に保管している場所
応急処置
・劣化が進行しているフィルムの隔離。
・換気のよい場所で酢酸を放散。
・酸性ガス吸着シートや調湿剤を活用。
古い映像フィルムや写真フィルムも是非ご確認ください
マイクロフィルムだけでなく映像フィルム、写真フィルムでも同様の劣化が起こる可能性が考えられます。